生物学とテクノロジーとの出会い：バイオインフォマティクスの力を活用：

はじめに

場所：アメリカ合衆国
次世代シーケンサー（NGS）によるゲノム解析の力を引き出すことは、バイオサイエンスと医学の進歩に不可欠です。遺伝子に関する知見を最大限に引き出すため、研究者は生のシーケンスデータを意味のある情報に正確に変換できる強力な解析ツールを必要としています。しかし、このような利点を十分に活用するためには、企業は多様なニーズに対応できる使いやすいソリューションを必要としており、その導入には金銭的・技術的な障壁がほとんどありません。このケーススタディでは、大手バイオインフォマティクス・ソリューション・プロバイダーが、アドバンテックの高性能な産業グレードのSKY-6200サーバ・ハードウェアを採用し、あらゆる規模の研究室でゲノムデータの整理、解析、活用を可能にする高精度で効率的なソフトウェア・プラットフォームを開発した事例を紹介します。

背景情報

バイオインフォマティクスツールを社内で独自に開発するには多額の費用がかかることから、多くの研究所が既存の目的別ソリューションを採用して自身の既存のインフラに柔軟に組み込み、必要に応じてカスタマイズすることを希望しています。

この市場の需要に応えるため、ライフサイエンス研究と分子診断学を推進するゲノムシーケンスと２次分析ソリューションの大手プロバイダーが、NGSデータを効率的に処理するための包括的でスケーラブルな自動化ソリューションプラットフォームを構築したいと考えていました。

チャレンジ

すべての研究室にとって、バリアントコール（バリアント呼び出し／データ解析）の精度は結果の質を保証するために非常に重要です。NGS 技術の進歩に伴い、生成されるシーケンスデータの量は指数関数的に増え続けています。さらに、集団の多様性が増加し、多くの関連遺伝子がマッピング困難な領域に位置するため、基本的なデータフィルタリングとパターン参照は非常にリソース集約的なプロセスとなっています。ムーアの法則（計算機の進歩は時間とともに著しく速く、小さく、効率的になるという法則）によれば、計算能力は２年ごとに倍増します。これを、ゲノムデータが７ヶ月ごとに倍増するという事実と比較してみると、バイオインフォマティクス・アプリケーションにとって、ストレージスペースと処理効率が重要な関心事であることは明らかです。

システム要件

現在、未来の幅広いバイオインフォマティクスデータ運用に対応が可能なNGS 解析プラットフォームを提供するため、このお客様は複数のアクセラレータカード 、高速ネットワークインターフェイスカード（NIC）を搭載できる多くの拡張スロットを備えた産業グレードのサーバを求めていました。膨大なデータセットを処理する作業では、システムメモリを増やせば解析速度を加速化させることができ、一方、CPUの数を増やすとマッピングを読むために必要となる時間を短縮することができます。

このシステムはまた、過酷な環境、特に比較的標高と気温の高い場所での運用に耐える堅牢性も必要でした。そのため、広い動作温度範囲、ZDT（ゼロダウンタイム）、高い安定性がハードウェアの必須要件となりました。データを迅速に処理し、実用的な洞察に変換するためには、ディープラーニング機能を備えた強力なGPUサーバーも必要でした。

最後に、展開する前に、このソリューションが世界中に運用できるための認証が必要でした。迅速な配備と統合を重視するグローバル企業として、顧客は幅広い互換性と第３者認証のために標準化されたハードウェアを必要としていました。多様な設置環境特有の考慮事項に加え、国ごとに品質基準や安全規制も異なります。迅速な開発と市場投入までの時間の短縮を可能にするため、システムは情報技術に関する国際基準を満たす必要があります。

システム構成図

システム内容

SKY-6200サーバは第２世代 Intel® Xeon® スケーラブルプロセッサ用のデュアルソケット、メモリ DIMM 24 個、PCI Express 拡張スロット９個、ホットスワッパブル SATA ベイ８個、LAN ポート４個、さらに産業用グレードの耐振動性を兼ね備えた運用安定性を高めた製品です。搭載されたファイバーカードによって信頼性ある高速ネットワーキングが可能となり、現場でプログラム可能なゲートアレイ (FPGA) PCI Express カードを使用し、加速化されたディープラーニングやデータ解析が可能となります。

ビッグデータのストリーミングには、サーバとストレージ間の入出力スループットが常に400Mbsであることが要求されます。したがって、アドバンテックの SKY-6200 サーバは、信頼性の高い高速常時接続ネットワークパフォーマンスを確保するために、デュアル10ギガビットネットワークリンクを装備しています。これにより、解析されたデータは集中データベースにアップロードされ、その後のダウンストリーム解析、バリアントアノテーション、データ共有、ゲノム参照などが可能になります。各研究室はそれぞれシーケンサを所有しており、シーケンサの生出力データを各研究室の近いキャッシュストレージに一時的に保存することができます。その後、データはネットワーク接続ストレージ（NAS）を含む集中化された計算およびストレージ基盤に簡単に転送できます。また、SKY-6200 は、計算集約的な処理に対応するため、Micron Technology 社による 32GB DDR4 RDIMM モジュールを16枚搭載しています。アドバンテックは、幅広い産業用アプリケーション向けの高品質で堅牢かつ耐久性のある製品ソリューションの開発を目的とした IQ（Industrial Quotient）パートナープログラムのメンバーとして、同社と協業しています。IQパートナープログラムへの参加は、インテリジェントな地球を実現する長期的な技術革新を生み出すアドバンテックの永続的な取り組みを示すものです。

効果・メリット

• 革新的な解析ソフトウェアを産業グレードのサーバハードウェアと組み合わせることで、ゲノムデータ解析、パターン参照を行うための画期的な二次解析プラットフォームを提供。
• SKY-6200 サーバに第二世代 Intel® Xeon® のデュアルスケーラブルプロセッサ、Micron Technology 32GB DDR4 RDIMM モジュール16 個 を搭載し、高性能コンピューティングを実現。
• ハードウェアの高速化が生み出す超高効率のワークフローでランタイムを30分短縮し、全体性能を15％アップ。
• ランタイムを高速化させたことで、併設するジェノタイピングパイプラインの処理に必要なストレージを40％削減。
  
• 高度に再構成可能な FPGA テクノロジーにより、マッピング、アライメント、バリアントコーリングが劇的に高速化。
  
• 高度なスマート・ファン制御が FPGA の熱管理を最適化し、ノイズ・レベルを低減してコンピューティング・パワーを最大化。
  
• 複数のプロセッサ、メモリ、ネットワーク・カードを含むすべてのソリューション・ハードウェアが、コンパクトな ２U・ラックマウント・ケースに収まるため、スペースの節約が可能。
  

アドバンテックが選ばれる理由

アドバンテックは、画期的なソリューションを提供するため容易にカスタマイズできる成熟した産業用グレード製品の広範なポートフォリオを提供しています。バイオインフォマティクス市場向けに、アドバンテックは、エッジセンシング、コンピューティング、コネクティビティ、サーバ・ストレージ・デバイスを含む包括的な IoT ソリューション・アーキテクチャを提供できるほか、製品ライフサイクルは最長５年です。コンポーネントからシステムに至るまで、アドバンテックのソリューションは、設計の柔軟性、運用の信頼性、長寿命に対応でします。

アドバンテックの "Design-to-Order" チームは、内部ファームウェアや FPGA サーマルマネージメントなどの拡張機能の統合や、必要に応じて独自のブランドロゴの追加など、お客様を支援できます。これにより、システム統合にかかる時間と総所有コストを削減し、お客様はアプリケーション開発と実装に集中することができます。

産業指数（IQ）パートナー：Micron Technology