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Advantechのエンドポイント・エッジ・クラウド直結ソリューションにより、AIを用いた鉄鋼工場向け設備モニタリング用クラウドプラットフォームを構築

2020/02/20

従来、工場での設備故障の診断は主に熟練した保守管理者に頼っており、問題の発見や、問題が生じた際の修理において彼らに依存してきた。これは、基本的に受身の回復方法であったと言える。設備の故障によるラインの停止は、巨額の損失に直結し、たとえ早急な修復を行ったとしても、その損失を完全に取り戻すことはできない。そのため、多くの企業では設備診断用クラウドプラットフォームの構築を計画している。それにより、管理者が全設備の稼働状態を明確に把握し、できるだけ早く必要な処置を行って問題の発生を未然に防ぐのに加え、過去のデータの分析結果から設備の動作状態を検知し、設備の耐用年数を延ばすことが期待できる。

ライン上の設備の稼働環境が悪く、状態異常の変化が大きいと感じていた、世界的に有名な台湾のある鉄鋼メーカーを一つの好例として挙げてみよう。 設備モニタリングのクラウド化プロジェクト立ち上げにあたり、生産・管理効率を高めるために、クラウドプラットフォームやビッグデータ分析等、柔軟性の高い技術を用いて、様々に変化する状態異常に対応することが強く期待されていた。

同鉄鋼メーカー社内で慎重に検討した結果、①エンドポイント・エッジ・クラウドをカバーしていて内容も完全性が高いこと ②適度な柔軟性を有しているため、将来の二次開発を行う際にも都合がよく、自社のサービスノウハウをシステム上に蓄積できること ③技術支援を担当するAdvantechのIoT.SENSE(IoT Solution Enabling Services)チームがシステムに対する極めて高い習熟度を有している という点でAdvantechが高く評価され、ソリューションを導入し、設備モニタリング用プライベートクラウドプラットフォームによるデモンストレーションラインが構築された。

具体的には、構築にあたっての同社の目標として、①データアップロードの標準的な仕組みを設定し、データへの多面的なアクセスおよび互換性を向上する。②機械学習の標準的な作業フローを確立し、診断の正確性を向上させる。③操作パネル導入により可視化し、データの解読性を向上させる。④エッジインテリジェンス演算技術を導入し、アラートのリアルタイム性を高める。⑤モジュール化されたソフトウェア・ハードウェアアーキテクチャを導入し、システムの拡張可能性を高める、という5項目が設定された。

WISE-PaaSをベースに、設備のモニタリング管理とAIモデルによるライフサイクル管理システムを完全統合

前述の目標に基づき、同社は設備モニタリング用プライベートクラウド内に3つのサブアーキテクチャを設定した。そのうち、「エッジインテリジェンス」はAdvantechのSmart Machine Boxを核としており、データ取り込みとエンドポイント演算処理等を行う。Smart Machine Boxは工業用コンピュータMIC-7500と8チャネル搭載の高精度PCIカードPCIE-1802の組み合わせで構成されている。そして、「IaaS」はAdvantechのWISE-STACK-300プライベートクラウドシステム上に構築する。

最も重要な「PaaS」の部分については、AdvantechのWISE-PaaS/EnSaaS IoTクラウドプラットフォーム上に構築することで、複数のサービスをワンストップで開始することができる。このサービスには、現場の作業担当者、データモデリング担当者、システム保守担当者など、グループごとに異なる可視化インターフェースを表示するための、WISE-PaaS/Dashboardによる操作パネルの作成も含まれている。WebAccess/SCADAとWISE-PaaS/DeviceOnによりエンドポイントとエッジマシンを集中管理するとともに、異常発生時には能動的にアラートを発出することができる。WISE-PaaS/APMにより設備テンプレートと管理配置を確立することで、異なる複数のラインやエリアにスピーディに拡張することができ、各設備・ライン・エリアそれぞれに対してイベントアラートロジックおよびレポートロジックを設定することができる。WISE-PaaS/AFSによりオンラインでのAIモデル開発とトレーニングを行い、さらに、AFS推論エンジン(Inference Engine)としてエッジ設備にAIモデルを配置する。また、WISE-PaaS/OTAを起動することで、ソフトウェアのリモート更新における管理の需要も満たすことができる。

エッジインテリジェンス、IaaS、PaaSが連携して稼働することにより、状態の検知、予知保全、信号のストリーミング表示、アラート発出等の機能を構成する、AIによる付加価値の高い設備診断用クラウドソリューションが構築された。今回のプロジェクトは、数百台もの設備を有する冷間圧延工場を手始めに、Phase 0として、まず設備を1台導入し、WISE-PaaSが確実に監視効果を発揮できるか検証する。Phase 1では、システムの拡張性を検証するために検知ポイントを300ヶ所増やし、検証の結果、問題がなければ、それ以降は複製速度を上げて行くということである。同社とAdvantechとの提携の下で、前述のプロセスは終了しており、続いて、300ヶ所の検知ポイントをラインの上・下流に設置し、システムの柔軟な拡張性を発揮することになる。

今回のプロジェクトは、鉄鋼メーカーに対し、自社での制御が可能な設備モニタリングシステムの構築をサポートする一方で、Advantechとしても、同社のニーズに応えることにより、WISE-PaaSに実用的な多くの機能を付加することができる、高い「共創」効果を有しているという点は特筆すべきであろう。その機能としては、WISE-PaaS/SaaS Composerの画面更新速度を秒単位から1/1000秒単位に短縮する、RESTful APIに対応させることにより、警告メッセージを社内メールシステムに伝送可能とする従来の順序型トレーニングから、並行型トレーニングに変更することで大量モデルのトレーニング効率をMulti-task方式により引き上げる、などといったものが挙げられる。

このAIによる設備モニタリング用クラウドプラットフォームを用いて、データを収集してWISE-STACKプライベートクラウドプラットフォームに送った後、クラウドによる設備管理設定、AIモデルの開発、設定と推論、およびその後の設備の維持管理を行うことで、設備保守担当者は設備の状況をリアルタイムで監視することができる。それにより、設備の故障によるライン停止を減少させて、設備の耐用年数を延ばし、リモート自動診断フローと予知保全の機能を向上させることが実現した。

システムアーキテクチャ


導入プロジェクト

WISE-PaaS Industrial IoT Cloud Platform

Cloud

WISE-PaaS/EnSaaS: Industrial IoT PaaS Cloud Service

WISE-PaaS/APM: Asset Performance Management

WISE-PaaS/AFS: AI Framework Service

WISE-PaaS/Dashboard: Data Analysis and Visualization 

WISE-PaaS/OTA: Over-the-air Centralized Remote Software Upgrade 

Edge 

WebAccess/SCADA: 100% Web-based SCADA Software 

WISE-PaaS/DeviceOn: IoT Device Management 

WISE-STACK-300: Fully Integrated Edge Intelligence Private Cloud 

Smart Machine Box (SMB): Integrate Intel® 6th Generation Core™ i Processor Compact Fanless System MIC-7500 with 8-Ch high-accuracy data acquisition PCI Express Card PCIE-1802

Edge-to-Cloud AIoT Architecture to Enable Real AIoT-Powered Cloud Business Models

IoT Software Online Business Channel to Buy, Deploy, and Customize Industrial Software Needs